解剖学 勉強用教材
解剖学はとにかく筋肉や骨の名前の徹底暗記に尽きるため、問題の自作はこれまでしてきませんでした。その代わり使っていた勉強用の教材を紹介します。
掲載書籍にはオススメ度をつけています。
★★★★★:買ったら絶対に得をします。点数に直結します。
★★★★☆:かなりオススメです。末長く使うと思います。
★★★☆☆:役に立ちます。
★★☆☆☆:持ってると便利ですが必須とも言い難いです。
★☆☆☆☆:ギリ役に立ちますがたまにしか使いません。
☆☆☆☆☆:必要なし。全く役に立ちませんでした。
【座学用】
<口腔顎顔面解剖ノート> オススメ度★★★★☆(日大松戸生は★×5)
モノクロの解剖学の問題集です。部位に番号が振られていて、下の空欄に書き込んで裏の答えと合わせて確認する、というものです。
日本大学松戸歯学部の2年生には強くオススメします。試験にこの本からまんま出ます。これがあるかないかで20点は変わるので絶対に持っておくべきものです。あまりにもまんま出過ぎて別の本でもしっかり勉強してた人たちは逆に損をしてました。僕もです。
頭頸部の筋や骨のみならず、血管やリンパ、神経までイラストで載っているので写真ではわかりづらいいろんな部位の理解に大いに役立ちます。また切り離せるためコピーして使うこともでき、繰り返しの演習にも使いやすい至れり尽くせりの本です。
【長所】
・日本大学松戸歯学部生であれば解剖学の試験の点数に直結する
・医学書にしてはリーズナブル(1600円程度)
・頭頸部の解剖学練習帳としてはこの上なく詳しい
・各ページにちょっとした問題が付いているので確認もやりやすい
・切り離せるように作られているのでスキャンすればPDFファイルにしていつでも練習できる
【短所】
・着色がされていないので前後関係や走行が若干わかりづらい
・書き込みがしやすいため中古のものを買うと大体がなにか書き込まれている
・頭頸部以外はさほど詳しく書かれていないため全身解剖に興味がある人は物足りなく感じる
<解剖学トレーニングノート> オススメ度:★★★★☆
体のエリアに線がひかれ、空欄が与えられていてそこに書き込んでいくというスタイルの問題集です。歯学部生のみならず医学部生、看護学生、整体師専門学校生などあらゆる医療系学生にオススメです。
全身を網羅しており、かつフルカラーイラストのため筋肉の形から血管、神経、リンパ管の走行までこの上なくわかりやすいです。僕も今これを使って勉強をしている日々です。特に中枢神経については非常に細かいところまで書かれているため、生理学での三叉神経の神経伝達路の理解の際にとても役に立ちます。
僕はこれを2冊買い、一冊は書き込み用、もう一冊は書き込まずに確認する用として使っています。
【長所】
・体表解剖も網羅されていて、盲点になりやすいところもカバーできる
・フルカラーでとてもわかりやすい
・一口メモがたまに書かれており、そこがテストに出やすかったりする
・紙質が鉛筆書きに向いているので書き込みやすい
・解剖学の全ての範囲が完璧に網羅されているので、これ一冊を暗記できれば解剖学に関しては何もいらない
【短所】
・医学書の中では安いが、目立って安いわけではない(3000円ちょい)
・解答が見やすいものではないため確認に時間がかかる(2冊買えば解決されるが高い)
・旧版を買うとたまに情報が古く、一口メモの内容が間違っていたりする
<グレイ解剖学>オススメ度:★★★☆☆
世界中で用いられている解剖学書です。授業中にわからないところにぶつかった時に開くといい本です。全身網羅されていることはもちろん、多彩な写真やイラストに加えて文章でもしっかり説明されているためこれがあれば基本的にわからないところは解決されます。
原本が英語であり、それの翻訳本なのでたまにいまいち掴みづらい表現があったりしますが、そういった場合は原書を読めば解決されます。新書で買えば無料で原書の電子書籍が手に入ります。原書の英語は単語が凶悪ですが、文章はさほど難しくありません。
【長所】
・詳しく文章で説明されている
・写真やイラストが織り交ぜられているのでわかりやすい
・医療系学校の図書館には高確率で置かれている
・解剖学の辞書として使うと良い
【短所】
・高い(13200円)
・でかくて重い(4キロ近くある)
・写真が明瞭ゆえにカフェで勉強する際に周りの人に不快な思いをさせる可能性がある
・洋書の翻訳版としてはかなり良質だが、ごく稀にわかりづらい表現があったりする
<口腔解剖学> オススメ度:★★★★☆
多くの歯学部で教科書として指定されている本です。口腔領域に特化した解剖学書であり、要所が簡潔に説明されているので良書だと思います。しっかり読んでおけば定期試験で求められる簡潔な記述問題の対策になります。
定期試験対策には結構役に立ちますが、歯科医師になった時に開いて何かを確認するか、という点については情報不足感が否めません。しかし、しっかり読めば十分な知識を得られる良書です。学生のうちに熟読しておくと今後もっと難しい解剖学書に出会っても大丈夫、というのが率直な感想です。
グレイ解剖学を先に読んでしまうとこの本の薄さに少し侮ってしまいがちですが内容はとてもいいです。ただし専門書なだけにかなり高いと思いました。メルカリでも8000円が相場です。5000円では絶対に手に入りません。
【長所】
・厚くないので持ち運びに便利
・要点が簡潔にまとめられていてわかりやすい
・イラストや写真が洗練されていて無駄がない
【短所】
・流石に高い(初版を買ってもいいがそれも高い上にかなり内容が変わってしまっているので最新版じゃないと授業の役に立たない)
・あまりにも教科書として認知されすぎているので図書館に置いてもらえない
・初歩の教科書として最適だが、一定の知識を得てしまうともう必要なくなってしまう
<イラスト解剖学>オススメ度:☆☆☆☆☆
(個人的な見解です)全く役に立ちませんでした。変に厚く、文章は普通でイラストは画風があまり好みではなく、そして高い。画風については好きな人も一定数いましたが僕には向きませんでした。
内容は分かりやすいのですが他の解剖学書を読んでから読むと、これじゃなくてもいいかな、と思ってしまうことが多かったです。合う人には良書になると思いますが僕はダメでした。図書館で目を通す程度でいいと思います。
【長所】
・説明がわかりやすい
・馴染みやすい
・図書館に多く置いてある
・カフェで開いて勉強できる
【短所】
・値段に見合わないと思った
・厚くて重い
【解剖実習用】
<人体解剖カラーアトラス>オススメ度:★★★★★
全ページにご遺体の写真が掲載されている、解剖実習の復習に非常に役に立つ本です。厚さもさほどなく、部位の名前が日本語と英語の両表記な点もプラスポイントです。全ての器官が網羅されている上に多方向から写真を撮っているので基本的に見えない組織はありません。
さらに、写真入りの医学書としてはかなりお値打ちの方で、しかも複数の版が出ているので旧版の本であれば元値の1割で買えたりもします。絶対に確保しておきたい良書です。図書館にも置いてあるとは思いますが、知られてしまうと人気になってしまって読みにくくなると思います。
これさえあれば問題なく解剖学実習を乗り切れると思います。これを2年生初頭に知っておきたかった…。
【長所】
・解剖が丁寧にされているので授業で見逃した、あるいは破壊してしまった組織を確認できる
・予習にも使える
・多くの大学図書館に備え付けられている
・無駄な記述がほぼない理想的な資料集
・比較的軽い(1kg程度)
・比較的安い(6380円)
【短所】
・紙の質がつやつやしているのでシャーペンや水性ペンでは書き込めない
・絶対にカフェでは開けない
・安いとはいえ5000円以上はしてしまう
<グラント解剖学実習>オススメ度:★★☆☆☆
解剖実習の手順書です。若干読みづらい印象の本でした。
これに準じて解剖実習をおこなう大学もあるので必須ではあると思います。松戸歯学部はこれに準じて実習を行いましたが、忠実にこれに従ってやるわけではないのでなんともいえません。
実習室に持っていくタイプの本なので、汚れが落ちやすいツヤツヤした紙質です。それでいて書き込みはギリできるので勉強はしやすいと思います。そして比較的安いです。
【長所】
・安め
・文章が丁寧に書かれている
・イラストがわかりやすい
・カフェで開いても問題ない
【短所】
・手順書なのに「〜を同定する」「〜を確認する」という、手を動かさないことまで書かれているので無駄が多い印象がある
・安い初版を買うと内容がかなり違う上に色が違うので色々バレてしまう
・若干大きく、開きにくい
番外編:アプリ
<ヒューマン・アナトミー・アトラス>オススメ度:★★★★★
購入時期に注意!
全身を3DCGで観察できるアプリです。解剖モードや特定組織だけ表示するモードなど、解剖学の勉強に欲しい機能が全て揃っているアプリです。タップすればその部位の説明が表示される他、さらに深い観察も色分け機能でできます。絶対に入れておきたいアプリです。
このアプリの特徴は、1年に1回、2週間くらい96%オフのセールをやることです。元値3060円で購入しても機能から考えると全く損はないのですが500円以下で手に入れられる時に手に入れられれば非常にお得です。多分欧米の大学が9月スタートだからか、毎年10月くらいにこの特大セールを行っています。初学の時期に慌てて買わなくてもいいので、時期がきたら必ず買いましょう。
【長所】
・欲しい機能が全て揃っている
・特大セールで360円で手に入れられる時がある
・追加課金で歯科領域も手に入れられる
【短所】
・タブレット端末以外では若干狭苦しい印象を受ける
・機能が豊富すぎて完全には使いこなせない